妊娠後期(妊娠28週〜39週)・臨月(36週以降)の腰痛に
今まで痛くはなかったのに腰が痛み始める方や、腰痛と共に骨盤自体の痛みも伴い始めるなどお腹がさらに大きくなられる妊娠後期、臨月の妊婦さんの腰は悲鳴をあげてしまっているのでは?
臨月だとサロンから断られてしまうことがまだ、多いとお聞きしています。ただ昨今では臨月、妊娠後期の妊婦さんでもマッサージやオイルトリートメント、マタニティエステなどを受けても大丈夫である、という認識がここ2〜3年で急速に広まったために、妊婦だから、という理由で断られることは少なくなっているようです。
妊娠後期の腰痛改善のための手立て
- マタニティー整体
- マタニティオイルマッサージ
- お灸治療
- 鍼治療
- 適度なストレッチ
これらを妊婦さんのお体の状態や心の疲労度合い、お好み等を考慮して施術を調整致します。
妊娠後期の腰痛は腰の反りがますます強くなってしまう
妊娠後期は初期や中期よりもさらに腰が反ってきます。そしてこの反りは腰への負担を増大させ、弊害として股関節痛、恥骨痛、お尻痛、坐骨神経痛、内転筋の柔軟性低下、膝痛なども引き起こしてしまうことがあります。また子宮が大きくなることで骨盤内の血流の停滞にもつながり、冷えやむくみ、歩きにくさなどお腹の状態や運動機能にも影響が出やすくなります。
妊娠後期の腰痛は腰だけではなく背中への負担も実はあります
腰の反りによる腰痛は骨盤と腰骨の境目、ジョイント部分への負担による痛みを訴える妊婦さんは多いのです。また正中線(体の中心)から外側で仙骨と腰骨の「腸骨」のジョイント部分である「仙腸関節」部位の腰痛もとても多いんです。
そして腰が反った状態では何もバランスを取らないと後ろにひっくり返ります。
ひっくり返らないように実は太ももの前面部分や膝裏、踵、足首周りなどの筋肉を無意識に使ってバランスと取っています。
でもこの力が入った状態は普通ではないから「負担」となります。そして凝り固まった筋肉が血管やリンパ管を圧迫してしまって血流の停滞による「冷え」「むくみ」「痛み」「こわばり」を引き起こしています。
背中への負担
実は肩甲骨や肩甲骨の少し下あたりへのマッサージや鍼治療、お灸は腰痛改善への手立てとして大切な部位なんです。
先ほど申し上げたように、腰のバランスが悪くなってくると必要以上に筋肉に力が入って疲労してしまうように、背中も倒れないように反対方向へ力を入れてバランスを取っています。
脊中起立筋という背中の大きな筋肉への負担はとてつもなく大きい上に、この筋肉は腰から肩のあたりまで一つの筋肉として存在しているために、腰への負担があるとそのまま上の方まで伝わってしまう、という修正もあります。これがバランスを崩しているということになります。
さらに、人の体は正確に前後だけのバランスでは成り立ってはいません。妊娠後期の妊婦さんでも同様で、大きくなったお腹は、赤ちゃんの位置や子宮の位置、形状によって
- ねじれてバランスととっている
- 左右どちらかに傾いている
- 左右の腰骨が回り込んでねじれている
など前後左右、斜めにと妊婦さんの骨盤の状況、太ももやお尻の筋肉の発達度合い、パワー度合いによって「ズレ」「骨盤のゆがみ」は実に様々です。
このことから腰痛であっても太ももや臀部への調整、肩甲骨剥がし系、デコルテへのマッサージ、肋骨全体へのマッサージや鍼、お灸が必要になるのです。
妊娠後期の腰は反り腰だけではないんです|子宮後屈による腰痛
図がないので分かりにくくて申し訳ないのですが、反り腰というのは妊婦さんを横から見ると
- 骨盤の上の方が前側に
- 尾てい骨は後ろ側に
- 恥骨も引っ込む方向へ
ねじれといった要素を取り除いたときの一例としては、このような状態です。すなわち、骨盤自体が横から見ると前側に倒れている状態です。
これに反して腰が反っていない状態、というのも実はあるんです。
腰は適度な反りがあるのは立ったり歩いたりしたときの衝撃をバネのように和らげる作用としてある程度は必要なのです。
でも逆に反りが全くないのはこれもまた足の方や首肩、背中、恥骨、股関節への負担もかなり強い傾向になり、お腹が大きくなってきてさらに顕著になることもあります。
骨盤が前に倒れるのとが逆に起き上がっている状態の理由として、子宮の位置が通常とは異なるからで、この状態は「子宮後屈」であることが多いと言えます。
反り腰は「子宮前屈気味」の場合も考えられます。もちろん、子宮の位置はまったく関連がなく、骨格筋や子宮以外の腸や胃などの状態から「ゆがみ」が引き起こされていることもあるために、問診や触診を行うことを大切にしております。
子宮後屈について
子宮後屈による腰痛の場合は骨格筋や自律神経調整などを基本的なマタニティケア以外にも「子宮後屈改善」のツボへのお灸やオイルによるマッサージが必要になります。
このツボはお腹にあるのと甲側の左手首を調整していきます。もちろんこれだけで全て戻るわけではありませんが、このツボを調整することで子宮内の血流が改善され、自然治癒力が引き出され自ら戻そうとお体が自動で動き始めます。
子宮後屈の骨盤は反り腰とは逆に、横から見ると骨盤が「立っている」状態です。横から見てお尻の丸みが少なく、平らな傾向にあると言えます。そして真正面から見ると骨盤が横に広がりやすい傾向にあることが多いんですよ。だから、お尻の下あたりがでっぱりやすいんです。この出っ張り部位は「大転子」といって太腿の骨が骨盤にくっついている場所となります。
太ももの横にある腸脛靭帯、大腿筋膜張筋をも調整しながら妊娠後期の腰痛調整を行うこととなります。
子宮後屈の腰痛は臀部から後頭骨まで範囲が広がる可能性
骨盤が立っていることで反り腰以上に「圧力・構造的負荷」が腰だけではなく仙腸関節や股関節、恥骨、膝、腰全体から背中の上まで背面部全体の痛み、疲労に伝導されやすい環境です。
また子宮が後屈しているためにさらに骨盤内の血流が停滞してしまうことでお体全体に冷えが広がる恐れがあります。
妊娠後期の腰痛は一つだけの原因ではない上に、その場所だけが痛いのではなく広い範囲への影響が強く感上げられるので、腰痛対策をおすすめいたします。
ポイント
▲ヒップアップの美容整体、鍼、オイルトリートメントを行う場合はお尻の筋肉だけを調整するのではなく、子宮など婦人系への調整も踏まえた施術を行う必要があります。また余談ですがバストアップもバストだけをマッサージするのではなく、肋骨の調整、首周り、皮膚のたるみに関連があるツボのラインをお灸や鍼、オイルマッサージで調整を行う必要性が出てくることが多くあります。
妊娠後期の反り腰は早めの調整を
もう少しで予定日だからここまで来たら痛いのは我慢!とされてしまってはいませんか?
ご説明した通り妊娠中の腰痛は股関節周りの筋肉や関節の柔軟性が低下してしまうことが考えられます。そしてそのままだとその疲労やコリは骨盤内へ供給される血管を圧迫して子宮内へ新鮮な血液供給が十分ではないために、子宮の硬さにがお産時への影響が出てしまう可能性があります。
どの鍼灸院でも「安産」には子宮、骨盤内への血流促進を重視します。そのためにお灸や鍼を行っているのです。安産のためだけではなく、産後の肥立ちのことも考慮して「妊娠後期の腰痛」は速やかに調整を開始していくことをお勧めいたします。
腰痛を調整してお産に備えましょう。